お笑い芸人インタビュー「ナンショット」後編

インタビュー お笑い × 芸人

公開日:2014/09/28

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熊本出身、現在25歳のお笑いコンビ「ナンショット」インタビュー後編。(前編はこちらから)
「お笑い芸人としてレベルアップするためにしていることは?」「プロとアマの違いは?」という硬めの質問にも、ナンショットらしい軽さと真面目さを織り交ぜて答えてくれました。ここまで真剣に考えているのか!と驚くと同時に、お笑い芸人として生きる覚悟を決めた二人が、今を楽しみながら生きる様子が伝わってきたいい時間でした。

#04 芸人としておもしろくなるためにしていること

――バイト先がバーや居酒屋だと、ネタがゴロゴロしてそうですよね。

カズキ:そうなんです。お酒の場は最強ですね。お客さんの話を聞いて、ネタ帳にひたすらメモしています。酔っ払いの動きとかはコントのアクションに役立つのですが、それよりもその人の考え方。何があって、何を思っているのかを聞くのが一番勉強になります。最近だと、バイでセックス依存症の人がいて、どういう考えで生きているのか研究させてもらってます(笑) メモが人物図鑑みたいになってますよ。

キヨタツ:僕は妄想派ですね。その内容に関連する本を探したりネットで情報収集したりして、頭のなかで結びつけてネタとして成立させる感じです。

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――「ネタの作り方」みたいなノウハウは業界的に存在するんですか?

キヨタツ:ありますね。ただ、僕らはほとんど見ていないです。伏線の付け方とか起承転結とか文章や物語の作り方は勉強しますが、ネタ作りの教科書的なものを先に見ちゃうとアイデアが沸かなくなりそうな気がして。

カズキ:そこは結構感覚的ですね。アイデアやネタの引き出しを増やすほうに力を入れてます。

キヨタツ:他の芸人さんのライブに行くと、ノリツッコミとか技法の勉強にはなります。ただそれがナンショットのキャラクターにハマるかといったら別なんですよね。例えば笑い飯さんのボケてボケてボケまくるのは笑い飯さんがやるからおもしろいのであって。

カズキ:ナンショットでは、キヨタツが妄想が炸裂する素敵な男性で、僕がそれを聞く……みたいなパターンを今後はやってみたいですね(笑)

――他にお笑い芸人としてレベルアップするためにしていることってあります?

キヨタツ:あとは表情の練習とか、滑舌を良くするための発声練習とかですね。

カズキ:僕ら本当に滑舌悪いんですよ。

キヨタツ:フリートークで噛んでも「今日お前ガチガチやね、耳真っ赤やし」って挟めばいいんですが、設定がカチッと決まったコントでやらかすとまずいんですよ。だからアナウンサーの方がやるような、「あいうえお いうえおあ うえおあい えおあいう おあいうえ」みたいなのを繰り返しやってます。

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#05 観客4人、半分は空気読めない小学生!ドキドキの初ステージ

――お笑い芸人としては具体的にどんな活動をされていますか?

キヨタツ:ネット番組「うちテレ(うち、テレビないんですけど?)」に出演しています。毎週水曜日にスタジオ収録をしていて、構成作家さんもいます。

カズキ:ただ事前の打ち合わせはないんです。「台本を先に渡すとお前ら勉強するだろ、見てる人はそれを察するんだよ」って言われて「はあ、なるほど」と(笑) 収録当日に雑談して企画を決める感じですね。

キヨタツ:馬とか鹿とかのかぶり物をして視聴者からの相談におもしろおかしく答えるコーナーみたいなのをやったりしています。仲のいい芸人仲間ができましたね。

カズキ:ギャラは出ませんが交通費が出ます(笑) ありがたいことです。

――ライブに出たりはしないんですか?

キヨタツ:この前初めてライブに出演しましたよ。中野にあるStudio twlというライブハウスで、賞金争奪ネタバトル「クロ-バ-ライブ」っていうのがあるんですよ。で、観客はたったの4人。

カズキ:しかも半分が小学生なんです。残りの2人は他の出演者が呼んだんだと思うんですけど。

キヨタツ:本当にそのへんの小学生だったんですよ。で、暇だったのか、そいつら持ってたお金をいじりだしたんですよ。そしたらチャリーンってネタの間のタイミングで小銭を落としはじめて。

カズキ:ボケたあとに「チャリーン」、ツッコミのあとに「チャリーン」みたいな。

キヨタツ:これ以上邪魔されたらまずいってその小学生の子たちを客いじりしてみたんですね。「ねぇーさっきからチャリンチャリンいってますけど」とか言ってみたんですよ。でもそいつら完全に無反応ですよ。「なんなんだよっ!」て感じでしたね(笑)

――散々な初ステージだったわけですね(笑) やっぱりライブは難しいですか?

カズキ:そうですね。いくら紙の上で「これおもろいやん!」ってネタが完成しても、実際のしゃべりだとまったくおもしろくなかったりしますからね。びっくりしますよ(笑) 

キヨタツ:漫才だとお客さんの反応を見て話を変えたりできるからまだいいけど、コントはできあがったストーリーを一直線でなぞるしかできないですからね。漫才とコントは完全に別物で、あれはもうドラマですからね。小物・演技・演出すべて計算して作って、ピタッと噛みあったら大爆笑なんですけどなかなか難しい。本当に試行錯誤ですね。

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――ネタ合わせの練習とかするんですか? ときどき公園で見かけたりしますけど。

キヨタツ:最近、公園も厳しいんですよ。すぐに近所から苦情入っちゃって。代々木公園とか駒沢公園とか大きい公園だとまだいけますね。他の芸人はカラオケボックスが多いらしいです。飲み物飲めて、声張っても大丈夫で、飽きたら歌を歌えるんで(笑)

カズキ:そういう公園に行けないときは、普通に家でキッチンから「どーもー!」って登場したり。

キヨタツ:見せ方が課題なんですよね。僕らは養成所に行ってないので、自分たちの声のハリがいいのか悪いのかもわからないし。場数踏んでいくしかないですね。ライブでお客さんの反応がいいとボルテージが上がるとかいいますけど、そういうのも経験してみたいです。

#06 お笑い芸人の端くれとして思う“プロ論”

――お笑い芸人として活動されていますが、プロとアマの違いってどこだと思いますか?

キヨタツ:その場で求められる面白さに応えられるってことじゃないかと思います。「笑い」で言ったら、ただ面白い人は世の中にたくさんいるじゃないですか。でも彼らは、自分の世界でピンポイントの人に向けてしか面白くなれないわけですよね。プロは、不特定多数のお客さんっていう広い範囲に向けて面白くなれるってことなのかなと思います。

カズキ:そうですね。「なんかおもしろいことやれ」って言われたときに、臨機応変に面白いことができるのがプロじゃないでしょうか。芸人さんってモテたくてなる人が多いんですけど、そのうちカッコつけるようになっちゃって結局ダメになる人が多いんですよ。だからそこは泥臭くいかないとだめだなって思いますね。

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――そんなお笑い芸人になって変わったことはありますか?

カズキ:「なんか面白いことやって」のフリにすべて応えるようにしています。

キヨタツ:「いやぁちょっとできないですね……」っていうのは絶対にダメですよね。

カズキ:バイト先で、店長に一日一個は必ずそばにあるもので振られるんですよ。「それではカズキさんで、ペパーミント」とか(笑) 訓練だと思ってなんとかがんばってるんですけど、お客さんからダメ出しされるんですよね。やっぱり大阪の人はうるさい。普通に説教されます。この前は音楽プロデューサーでお笑いまったく関係ない人に、「オチの付け方がわかってない」って5分くらい怒られてました。「ハイ、すいません、ハイ」って(笑)

キヨタツ:ネタとか笑いを出し惜しみするプライドはないですね。「お笑い芸人なんでしょ?だったら面白いことやってよ」っていうプレッシャーこそ大変だけど醍醐味だなって思います。

――ストイックなんですね。では、お笑い芸人をしていて楽しいことは?

キヨタツ:ふざけただけで仕事になるのが楽しいですよね。やりたいようにふざけて、盛り上げて、怒られて、っていうのがすべて自分たちの評価になるってすごいことじゃないですか。

カズキ:女性から「気持ち悪い」とか罵倒されても、芸人だからそれは嬉しい褒め言葉なんですよね。これがイケメンのモデルさんとかだったら恥ずかしくて仕方ないと思うけど。

――反対に苦しいことは?

キヨタツ:大学からバカやってた仲のいい友達がビジネスパートナーになることですよね。やってるのがお笑いなのでガチガチに線引きする必要はないと思うんですけど、でも自覚持ってシビアにやらないといけないって思ってるし、「そうしないとダメなんだからね!」ってカズキにも話してます(笑)

カズキ:だからお互いに指摘しあうようにしています。あとはこうやってインタビューとかでお話させてもらうときでも、友達同士ではなくお笑い芸人の「ナンショット」としてなので、僕らのキャラクターや面白さは出しつつもビジネスとしてのトークだって意識しています。相手がしゃべっているときは絶対にかぶせないとか。

――確かに、相手のしゃべりと間を持たせている感じは一般人とは違うなって感じますね!

キヨタツ:ありがとうございます! 大学時代からお互いをよく知ってるから苦しいっていうのはあるけど、逆に「間が早い」っていう強みもあるんですよ。相手の間を知り尽くしてるから差し込むタイミングが早いし外さないんですよね。人が普通に出会ってちょうどいい“間”ができあがるまでには10年かかるらしいんですけど、僕らはそれがすでに割とできているんです。スリムクラブさんとかは間の使い方をゆっくりにして売れましたけど、それくらい間って重要なのでこれは僕らの武器かなと。

カズキ:リアルでも仲良くてそれが芸にもつながっている僕らなんで、芸人さん見ていたら仲のいい悪いはわかっちゃいますよね。

キヨタツ:さまぁ~ずさんは本当に仲いいんだな、とか(笑)

カズキ:解散しないようにずっと仲良くやっていきたいですね。知り合いの芸人も結構解散してるんですよ。お笑い自体を辞める人もいるし、ピンでやって相方募集する人もいるし。解散したって聞くと舞台上ではあんなに面白くやってたのになんで!」っていう人多いですからね。

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#07 目指すは自分の番組『ふわふわナンショット』のMC

――お笑い芸人としてどんな展望がありますか?

キヨタツ:僕らは事務所に所属していないフリーのお笑い芸人なんですが、いずれテレビに出たりしたいので、そのときには事務所に入らないとなっていうのはあります。事務所に所属しないとテレビには出られないので。

カズキ:事務所に入ったら縛りが厳しいんですよね。こういうインタビューも受けられないですし。フリーのほうが人脈も自由に作れるし、機会は多いんですけど、ただ事務所に入らないと芸歴もつかないんですよ。

キヨタツ:養成所に入って卒業して、普通ならそのまま事務所に入るところを縛りがきついっていうことでフリーになる人もいますし、そのまま事務所所属になるけどライブの成績が悪くてクビになる人もいますし。本当にどっちもどっちですね。

カズキ:だから芸人になるって決めたとき、最初に話し合ったのが「養成所に入るか入らないか」だったんです。

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キヨタツ:「お笑いを教科書で学ぶのはアホらしくないか?」「自分たちに合うように教えてくれるのか?」「そもそもお笑いをしっかり勉強するってどうなんだ?」「週1~2回の授業で年50万の授業料って割に合わないんじゃないか?」みたいな話をして、フリーの道を選んだんです。その代わり、時間は限られてるからバイト先とか学びの場になるようなところは戦略的に選ぼう、ってことでバーとか居酒屋なんですよ。

――いずれ事務所に入ったとしたら、どんなスターダムをのぼりたいですか?

カズキ:まずは『キングオブコント』とか『THE MANZAI』とかのグランプリを取ります。それで露出したら、いずれは自分の番組でMCやりたいですね。『ふわふわナンショット』とか(笑) 最初は深夜で、そのうちゴールデンみたいな。

キヨタツ:やっぱり自分の番組は持ちたいですね。「芸人としてどうなりたいか」とか「いつまでやるんだ」って聞かれるんですけど、芸人としての終わりはないと思ってます。本気でやるって決めたんで、見切りをつけるとか引退するとかってことはまったく考えてないですし。

カズキ:死ぬまでお笑いやるって腹くくりましたからね。そのために今はライブの経験を積みたいですね。今はネタばっかりできあがってるので。

キヨタツ:感覚つかみながらネタを練り込んでいって、バリエーションを増やしていきたいですね。ということで直近での目標は、僕らが出演している「クローバーライブ」で優勝して賞金1万円をもらうことです! ちなみに他のフリーのライブに比べると賞金1万円って結構高いらしいです。

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――ありがとうございました!

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